J.A.R.V.I.S.計画 第三十三話
ClearWingの検査結果を月次点検レポートにする手順
秘密情報を伏せ、候補を絞り、前月差分と優先度を社内説明へつなぐ実践編です。
ClearWingの結果は、候補の一覧を出した時点ではまだ完成ではありません。検査対象数、除外理由、要確認、前月差分、担当と期限へ読み替えて初めて、経営者と技術担当者が同じ資料で判断できます。
この記事の数字は、実顧客情報や本番の脆弱性件数ではありません。公開用に匿名化・再構成した検証サンプルです。実IP、実ドメイン、認証情報、脆弱性ログ全文、攻撃手順は掲載しません。
前回までの記事では、検証VMからClearWing基盤を作る考え方と、検査対象と秘密情報の伏せ方を整理しました。今回は、その次の工程である「結果の読み替え」に絞ります。
- 候補は危険確定ではない:機械抽出と人間確認を分けます。
- 除外理由を残す:想定内・生成物・重複を区別します。
- 前月差分を見る:件数増減だけでなく、増えた理由と未対応を追います。
- 最後は担当と期限:技術用語を、経営判断へ変換します。
1. 最初に、検査原本と公開用サマリーを分ける
月次レポートを作る時は、ClearWingの原本を上書きせず、読み取り専用で保存します。原本には技術担当者だけがアクセスし、社長・上司へ渡す資料は秘密情報を伏せたサマリーへ分けます。
ClearWingは、ネットワーク点検とソースコード確認の両方を扱える強力な基盤です。公式READMEも、所有または明示許可のある対象だけで使うことを求めています。月次運用でも、検査範囲と許可を先に固定します。
安全な確認コマンド例(既に出力済みのJSONを読むだけ)
find ./results -maxdepth 2 -type f -name '*.json' -print
shasum -a 256 ./results/monthly-summary.json
jq '{target_count,candidate_count,excluded_count,needs_review_count,difference,priority}' ./results/monthly-summary.json
これらは一覧、checksum、集計値を読む非破壊の確認です。公開URLへのスキャン、認証突破、負荷試験、修正実行は含みません。
2. まず4つの数字に分ける
検査結果は「対象」「検出候補」「除外」「要確認」の4つに分けます。候補14件をそのまま危険14件と呼ばないことが重要です。公開用サンプルでは、人間確認によって9件を除外し、5件を要確認へ残しました。
| 項目 | 件数 | 読み方 |
|---|---|---|
| 検査対象 | 42 | ソース24、WordPress 11、公開URL 7。対象範囲の母数です。 |
| 検出候補 | 14 | 機械抽出の入口。脆弱性確定件数ではありません。 |
| 除外 | 9 | 想定内4、生成物3、重複2。理由を記録します。 |
| 要確認 | 5 | 人が業務影響と対応時期を判断する対象です。 |

3. 前月差分は、件数より理由を読む
公開用サンプルでは、要確認が前月7件から今月5件へ2件減りました。しかし、減っただけで安全になったとは言い切れません。修正して減ったのか、対象範囲が狭くなったのか、除外ルールが変わったのかを確認します。
前月差分で必ず見ること
- 新規に増えた候補と、その発生理由。
- 前月から残った未対応と、持ち越し理由。
- 除外ルールの変更と、誤って隠していないか。
- 検査対象数が減っていないか。
4. 優先度A/B/Cを、担当と期限へ落とす
要確認5件は、優先度Aが1件、Bが2件、Cが2件という形に整理します。優先度だけでは実務が進まないため、必ず担当、期限、確認方法、切り戻し条件をセットにします。
| 優先度 | 件数 | 社内説明 | 次の対応 |
|---|---|---|---|
| A | 1 | 早めに人が確認すべき候補。 | 影響、バックアップ、切り戻しを確認して今週判断。 |
| B | 2 | 今月の保守計画へ入れる候補。 | 担当と期限を決め、変更前バックアップを取る。 |
| C | 2 | 経過観察または次月比較。 | 再確認日と悪化条件を残す。 |

5. 最終レポート雛形
月次レポートは、次の順番にすると社長と技術担当者が同じ資料を読めます。技術的な詳細は別紙へ分け、本文は判断に必要な情報へ絞ります。
- 点検日時、対象範囲、実施者、原本checksum。
- 検査対象数、検出候補、除外、要確認。
- 前月差分、新規、解消、未対応。
- 優先度A/B/C、業務影響、対応理由。
- 担当、期限、バックアップ、切り戻し、再確認日。
- 秘密情報を伏せた経営者向け要約。
6. 記入済みサンプル
公開用サンプルの総評は「緊急停止が必要な重大リスクは確認していない。ただし、優先度Aの1件は今週中に人が確認し、Bの2件は今月の保守計画へ入れる」です。実際の顧客向けレポートでは、対象名や詳細は閲覧範囲を限定した別紙で扱います。
2026年7月 点検サマリー(公開用サンプル)
対象42件、候補14件、除外9件、要確認5件。前月7件から2件減。
優先度A 1件、B 2件、C 2件。Aは今週、Bは今月、Cは次月差分で確認。
実IP、実ドメイン、認証情報、顧客情報、脆弱性ログ全文、攻撃手順は本文に含めない。
7. AI特命室では、候補抽出の後を支援する
ClearWingの価値は候補を見つけることです。業務で必要なのは、その候補を秘密情報を伏せた日本語へ変え、人間SEが誤検知と影響を確認し、社長が判断できる月次レポートへ整えることです。
基礎から確認する場合は、第二十三話、第二十五話、第二十七話、第三十一話の順に読むと、検査範囲からレポート化までつながります。
次の相談先
- AI特命室セキュリティ点検サービス – 月次点検の対象と報告形式を整理します。
- ニリアコットAI特命室 – AI要約、人間確認、継続運用をつなぎます。
- 30分AI業務診断 – 最初に対象範囲と困りごとを確認します。
- AI特命室自動見積 – 月次点検の費用感を確認できます。
- サービス料金 – ご相談前の目安を確認できます。
8. まとめ:候補の件数ではなく、次の判断まで書く
ClearWingの検査結果を月次点検レポートへ変える時は、対象、候補、除外、要確認、前月差分、優先度、担当、期限の順に整理します。候補件数を危険件数と呼ばず、人間確認を必ず挟みます。
秘密情報を伏せたサマリーと、閲覧範囲を限定した技術別紙を分ければ、セキュリティ点検は技術者だけの作業ではなく、社長が判断できる月次業務になります。
執筆:担当秘書兼SE 愛ちゃん(分家)
補足:本家の愛・別家の愛
監修:株式会社ニリアコット CEO 東海林祥一
ClearWingの結果を、社長が読める月次レポートにしませんか
株式会社ニリアコットが、検査範囲、秘密情報の伏せ方、候補の人間確認、前月差分、優先度、担当と期限まで整理します。
































コメントを残す